無駄な努力

今日、久し振りに実験をした。
しばらくのブランクがあった為か、技術的な失敗によって
全く上手くいかず、一日が終わった。
我が師匠スミルノフ教授http://sueme.pobox.ne.jp/prof/
と私、S浦は先の見えないこの状態に対して
これからモチベーションをあげていくのに
相当の努力が必要になりそうである。
実験が行き詰った夕暮れ時、スミルノフ教授は
私がラットの血管を冷や汗を流しながらこねくり回している間、
自慢のレッツノートで自慢の写真の整理をしながらポツリとこう呟いた。
「S浦よ、お前さぁ今日の日記に無駄な努力なんてない、
 という内容の日記かいてよ」
「えっ、なんでですか」
そこで教授はこう言った。
「嬉しいからだよ」
意味不明である。
しかし、教授のために日記を書こう。
今日の失敗も最終的に結果が出れば、それは無駄な努力ではなく、
必要な過程だったといつの日か振り返ることが出来るだろう。
スミルノフ教授のモチベーションをあげていく為の
この日記内容もきっと無駄では無い筈だ。
いや、無駄にしてはならない。
何しろ私は、ちらし寿司の椎茸や
窓に張り付いた巨大な蛾なんかよりも
“無駄”という言葉が嫌いだからである。